ピッチデック

ピッチ資料に必ず入れるべき10のスライド|投資家が見るポイント

投資家向けのピッチ資料(ピッチデック)には、必ず入れるべき10のスライドがあります。VCが実際に何を見て投資判断するかを解説します。

·読了 9分
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ピッチ資料で投資家が最初の30秒で判断すること

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投資家が最初の30秒で判断すること

  • • 「この課題は本当に大きいか」
  • • 「このチームに信頼できるか」
  • • 「自分のポートフォリオに合うか」

VC(ベンチャーキャピタル)は年間何百・何千ものピッチデックを受け取ります。その多くは最初の数スライドで「次に進む(≒精査する)」か「今は見送る」の判断が下されます。最初の30秒——課題スライドと解決策スライド——で「この事業は面白そうだ」という印象を与えられるかどうかが、その後のプロセスへの進行を大きく左右します。

この記事では、ピッチ資料の作り方の応用として、「必ず入れるべき10のスライドと投資家が実際に何を見ているか」を解説します。各スライドで投資家が確認するポイントを理解することで、刺さるピッチデックが作れます。

必ず入れるべき10のスライド

10スライドの構成フロー

課題
解決策
市場規模
製品
BizModel
トラクション
競合
チーム
財務
Ask

シリコンバレーのVCで標準とされるPitch Deck構成は「10スライド」が基本です。各スライドに「投資家が確認したいポイント」があり、それを意識して作ることで刺さるピッチデックになります。

01

課題(Problem)

投資家の確認ポイント: 課題の深さと市場の痛みの大きさを確認

「誰が・どんな課題を・どの程度困っているか」を具体的に示します。課題が曖昧だと、後続のすべてのスライドが弱くなります。市場調査データや実際のユーザーの言葉(引用)を使うと説得力が増します。投資家は「本当に大きな課題か」「解決したいと思う人が十分いるか」を確認しています。

02

解決策(Solution)

投資家の確認ポイント: シンプルさ・独自性・課題との紐づきを確認

「自社がどうその課題を解決するか」を1〜2文で説明します。「AIを使って〇〇を自動化します」より「〇〇の作業が3時間→15分になります」という結果ベースの説明が効果的です。投資家は「解決策は本当に課題に対応しているか」「シンプルに説明できているか(複雑すぎないか)」を見ています。

03

市場規模(Market Size)

投資家の確認ポイント: TAM・SAM・SOMの根拠と成長性を確認

TAM(総市場規模)・SAM(獲得可能市場)・SOM(現実的な目標市場)の3層で示します。「市場規模○兆円」と書くだけでは不十分で、「そのうち自社が狙える市場がXXで、3年で○%のシェアを取る」という具体性が必要です。市場規模の数字は第三者の調査データを引用してください。

04

製品・サービス(Product)

投資家の確認ポイント: 実際に動くものがあるか・UXの質を確認

実際の製品のスクリーンショット・デモ動画・プロトタイプの写真を使います。「こういうものを作ります」という説明より、「実際に動いているもの」を見せることで信頼性が格段に上がります。スライドのデモが難しい場合は、ユーザーフローの図解で代替してください。

05

ビジネスモデル(Business Model)

投資家の確認ポイント: 収益の持続可能性・スケーラビリティを確認

「誰が・何に対して・いくら支払うか」を明確に示します。SaaS・取引手数料・広告・ライセンスなど収益モデルの種類と、単位経済性(LTV/CAC比)があれば必ず記載します。投資家は「このモデルはスケールするか」「ユニットエコノミクスは健全か」を最重要視します。

06

トラクション(Traction)

投資家の確認ポイント: 成長の実績と再現性を確認

「今どこまで来ているか」を数字で示します。ユーザー数・MRR・成長率・リテンション・パイロット顧客の数など。数字がない場合でもパイロット合意・LOI(覚書)・待機リストの規模を示せれば有効です。投資家は「本当に需要があるか」という証拠を探しています。

07

競合分析(Competitive Landscape)

投資家の確認ポイント: 自社の差別化の明確さと持続可能性を確認

ポジショニングマップ(2軸の比較図)が最も伝わりやすい形式です。「競合はいません」は絶対に言ってはいけません。代替手段(Excel・手動作業)も競合として含め、自社の優位性を正直に示してください。<Link href="/column/kyogai-bunseki-shiryo" className="text-primary-600 underline hover:text-primary-800">競合分析資料の作り方</Link>を参考に設計してください。

08

チーム(Team)

投資家の確認ポイント: 最重要評価項目——なぜこのチームが勝てるか

創業者・共同創業者のバックグラウンド(前職・専門性・実績)を簡潔に。「このチームがなぜこの課題を解決できるのか」という必然性(Unfair Advantage)を伝えてください。「業界経験10年」「元○○社エンジニア」など、信頼性の根拠を具体的に示します。

09

財務計画(Financials)

投資家の確認ポイント: 仮定の合理性・成長への道筋を確認

3年間のP/L予測(売上・コスト・EBITDA)と、主要な仮定(顧客獲得単価・成長率・チャーンレート)を示します。「3年後に売上100億円」という楽観的すぎる数字は信頼性を下げます。ボトムアップで積み上げた根拠のある数字を使い、最も慎重なシナリオで示すことが基本です。

10

調達金額と使途(Ask)

投資家の確認ポイント: 資金の使い方の合理性と次のマイルストーンを確認

「いくら調達したいか」「何に使うか(割合)」「この資金で何を達成するか(マイルストーン)」の3点を明示します。「成長のために使います」は不十分です。「エンジニア採用に○%・マーケティングに○%・18ヶ月のランウェイを確保」のように具体的に示してください。

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投資家が見るポイントと評価基準

投資家の評価ウェイト(一般的なVC)

40%

チーム

35%

トラクション

25%

市場規模

投資家がピッチデックで何を評価するかは、投資ステージやVCのスタイルによって異なりますが、多くのVCに共通する評価基準があります。事業計画書の作り方とも関連しますが、投資家向けには「市場・チーム・トラクション」の3点が特に重要です。

チームへの評価(最重要)重要度 40%

多くのVCが「最も重視する」と答えるのがチームです。「この問題を解決するのにこのチームが最適か」「諦めずに続けられる情熱があるか」「足りないスキルを認識して補完できるか」が評価基準です。特にシードステージでは、製品よりチームへの信頼が投資判断を左右します。

市場規模の見方重要度 25%

投資家は「大きな市場(1,000億円以上)に大きなリターン(10倍以上)が見込めるか」を確認します。市場が小さすぎる場合、事業が成功してもVCとして期待するリターンが得られません。市場規模の数字は「実際に誰が・どのくらいの頻度でお金を使うか」のボトムアップ計算で示すと信頼性が増します。

トラクションで判断する成長性重要度 35%

ステージが進むにつれて、「実証できているか」がより重視されます。シード段階では仮説でも許容されますが、シリーズAでは明確なPMF(プロダクト・マーケット・フィット)の証拠が必要です。MoM成長率20%以上・NPS(顧客満足度)60以上・Churn Rate5%以下などが有効な指標です。

ピッチデックで避けるべき5つの失敗

ピッチデックの5大失敗

これらの失敗は投資家の信頼を一瞬で失います。チェックリストとして確認してください。

失敗1: 課題よりソリューションから話す

「こんなすごいプロダクトを作りました」から始まるピッチは、投資家に「課題は本当に存在するのか」という疑問を生みます。常に「誰のどんな課題か」から始めてください。

失敗2: 市場規模を過大評価する

「市場規模は100兆円」という数字は、根拠なく大きな数字を使っていると思われます。ボトムアップで計算した現実的な数字のほうが、投資家の信頼を得られます。

失敗3: 「競合はいない」と言う

競合がいないということは「市場が存在しない」か「競合を調べていない」のどちらかです。必ず代替手段(手動・Excel等)を含めた競合分析を示してください。

失敗4: チームスライドを最後にする

多くの投資家はチームを最重視するにもかかわらず、チームスライドを最後に置く構成が多いです。チームスライドを前半(課題・ソリューションの後)に配置する構成も検討してください。

失敗5: 数字に根拠がない

「3年後に売上100億円」という目標を書いても、その根拠(顧客獲得ペース・平均契約単価・成長率の仮定)がなければ信頼されません。必ず数字の根拠となる仮定を添えてください。

まとめ

ピッチ資料の10スライドは「課題→解決策→市場→製品→ビジネスモデル→トラクション→競合→チーム→財務→Ask」が基本構成です。各スライドで投資家が確認するポイントを理解し、「投資家の問いに答える構成」で作ることが最重要です。

今日から使えるアクションは2つです。①自分のピッチデックを「投資家が各スライドで何を確認するか」の視点でレビューする、②チームスライドを後半から前半に移動してみる(投資家はチームを最重視するため)。IR資料の作り方も参考に、投資家とのコミュニケーションを最適化してください。

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