経営層が数字に何を求めているか
| 経営層が数字を見て知りたいこと | 対応する見せ方 |
|---|---|
| 計画通りに進んでいるか | 目標値vs実績値・達成率 |
| 改善しているか悪化しているか | 前月比・前年同月比のトレンド |
| なぜそうなっているか | 変化の理由(原因と対応策) |
| 今後どうなるか・何が必要か | 見通し・リスク・意思決定事項 |
経営層が報告資料の数字を見る際の最初の問いは「計画通りに進んでいるか」です。これを1秒で判断できる資料が良い報告資料です。目標値と実績値が並んでいなければ、この問いに答えられません。
次の問いは「なぜそうなっているか(良い場合も悪い場合も)」です。数字だけを示して原因が不明では、経営層は「次に何をすべきか」を判断できません。全ての主要KPIに「変化の理由」を2行以内で添える習慣をつけてください。経営報告資料の作り方も合わせてご覧ください。
グラフの正しい選び方と使い分け
グラフを選ぶ際の原則は「何を伝えたいかを決めてから、それに適したグラフを選ぶ」ことです。「とりあえず棒グラフ」「とりあえず折れ線」では、伝えたいことが伝わらないか、誤解を招く場合があります。
以下の5種類のグラフについて、正しい使い場面と注意点を確認してください。
例: 月次売上推移・ユーザー数の変化
利点: 時間軸での変化を直感的に伝えられる
注意: 点の数が多すぎると読みにくい。6〜12点が目安
例: 部門別売上比較・月別コスト比較
利点: 値の大小が視覚的に明確
注意: 基準線はゼロから始める。途中から始めると誤解を招く
例: 製品別売上ランキング・原因分析
利点: 項目名が長い場合に読みやすい
注意: 項目数は多くても10以内
例: 売上の事業別構成・コストの内訳
利点: 全体に対する各部分の割合が直感的
注意: 項目数は5つ以内。細かい項目はまとめて「その他」に
例: 売上増減の要因分析・費用変化の内訳
利点: プラス・マイナスの要因を一目で把握できる
注意: 作成に手間がかかるため重要度の高い指標に限定
比較軸の設計(目標比・前月比・前年比)
経営層向けの数字は「単一の数字」ではなく「複数の比較軸を持つ数字」として見せることで、状況の全体像が伝わります。最低でも「目標比・前月比・前年同月比」の3軸を揃えてください。
3軸が揃うと「今月の目標に対してどうか」「先月と比べて改善しているか」「去年と比べて成長しているか」という3つの視点で判断できます。3つのうち2つが良くて1つが悪い場合、どちらの問題が重大かを判断するための文脈を提供できます。
季節変動がある業種(小売・観光・農業等)では前月比より前年同月比が重要です。冬に売上が下がるのは当然なため、「前月比-30%」は意味を持たず「前年同月比+5%」の方が実態を正確に反映します。業種に合わせた比較軸の優先順位を決めてください。
誤解を招かない数字表現のルール
経営層向けの報告資料では「定性表現」を避け「定量表現」に変換することが基本ルールです。以下の悪い表現と良い表現の対比で、改善のポイントを確認してください。
問題: 「大幅」の定義が主観的
問題: 達成率が不明確。「ほぼ」の基準が人によって異なる
問題: 客観的根拠がない主観表現
問題: 課題がないか確認できず、信頼を損なう
KPIの優先順位の付け方
経営報告資料に全KPIを詰め込むと、どれが重要かわからなくなります。KPIを4段階に分類し、経営報告には「L1(1つ)+L2(3〜5つ)+L3(5〜10つ)」の3階層を示す構造にしてください。KPI報告資料の作り方も参考にしてください。
L1: North Star Metric
最も重要な1つのKPI。事業の成功を最も端的に表す指標(例: MRR・DAU・受注数)
L2: 主要KPI(3〜5つ)
North Star Metricに直接影響する指標(例: 新規顧客数・継続率・粗利率)
L3: サブKPI(5〜10つ)
L2 KPIの原因・先行指標(例: リード数・商談化率・案件単価)
L4: 業務KPI(報告不要)
現場で管理する詳細指標。経営報告には原則含めない
まとめ
経営層向け報告資料で数字を正しく見せるには、グラフの正しい選択・3軸の比較設計・定量表現の徹底・KPIの優先順位付けの4つの技術が必要です。これらを組み合わせることで、経営層が「1スライドで状況を判断できる」報告資料が作れます。